Vol.199 花、虫、スローライフの輝き 〜 熊田千佳慕展

熊田千佳慕(本名:熊田五郎 95歳)は、戦後デザイナー〜絵本作家として活躍。
「プチ・ファーブル」という愛称で呼ばれ、心から自然の中の虫たちや草花を愛し、虫たちの生態を精密に表現する。「ファーブル昆虫記」はライフワークとして現在も昆虫記シリーズを描き続けている。
今回の展覧会では、山名文夫土門拳らと共にデザイナーとして仕事をしたきた日本工房時代の作品や、絵本作家に転向してからの数々の細密画まで約200点が展示されている。「ふしぎの国のアリス」「ファーブル昆虫記の虫たち」その他にも資生堂のパッケージのイラストやポスターなど当時の貴重な作品も展示されていた。花や昆虫の作品はひとつひとつの筆の線がみごとで、リアルに精密になるほど描かれたものは無機質な感じがするものだけれど、彼の描写はどれもがとてもファンタジックなのが不思議だ。すばらしいメルヘンの世界を見せてもらった。

熊田千佳慕(くまだちかぼ ) プロフィール
1911年、横浜市中区生まれ。
1934年、東京美術学校(現・東京芸術大学)卒業。 山名文夫に師事。
デザイナー・写真家集団「日本工房」に入社、土門拳らと仕事をする。
戦後、細密画技法を会得し、以後今日まで「ファーブル昆虫記」、「みつばちマーヤの冒険」、「ふしぎの国のアリス」の挿画や絵本など、生命感あふれるすぐれた作品を数多く発表。 ボローニャ国際絵本原画展入選をはじめ、数多くの受賞がある。すぐれた観察力と卓越した描写力で多くの人々を魅了するとともに、フランスの「ファーブル友の会」会長から「プチ・ファーブル」と称賛される。横浜文化賞、神奈川県文化賞受賞。 横浜市神奈川区在住。

千佳慕の横浜ハイカラ少年記 花を愛して―熊田千佳慕の世界 愛するからこそ美しい―千佳慕 花の画集 ファーブル昆虫記の虫たち-1
千佳慕の横浜ハイカラ少年記
花を愛して―熊田千佳慕の世界
愛するからこそ美しい―千佳慕 花の画集

ファーブル昆虫記の虫たち-1

→写真はフォトログに掲載(The photograph is published in the gallery)