Vol.187 フェルデンクライス・メソッド 繊細な動きを感じる 〜 青山

Vol.187 フェルデンクライス・メソッド

青山で行われたフェルデンクライスのワークショップに参加した。今いろいろなボディワークが取上げられているけど、それらは実際に体験しないとどんなものかはわからない。今回は知人がプラクティショナーということもあり、気軽な気持ちで参加してみた。
言われるままに自分なりの感覚で指をゆっくりと動かしながら、その動きや体の状態を意識してみる…まず横たわった状態で、ゆったりとした問いかけに自分の背骨の位置や左右のバランスなどを確認していく。さらに動きを加えて、それらがどのようになっているか変化したのかどうか自分で再度確かめてみる。なんだか不思議な時間…。少しすると右と左を向いたときに、少し違うことがわかる。手のひらを閉じたり開いたりする動きでさえ、右を向いたときの右手と左を向いたときの右手では、動きやすさが違う…。そんなことをひとつひとつ確かめながら、それぞれが考える時間…。
普段意識しない自分の動きを、改めて意識するということは、それに集中できるし、他のことを考えることもなくゆったりと時がすぎる。小さな動きだからこそそれに神経が集中する。大きな動きでは、動きそのものに意識がいくため「見えないこと」「感じられないこと」があるという。レッスンの合間にあまり心地よくて眠ってしまう人もいるそうだ。フェルデンクライスは、ゆっくりとした動作から体の自然な動きを導き出し、筋肉や骨の動きに意識をおくレッスンだ。ストレスなどから解放されるなどの効果もある。動きが脳や筋肉にどのような作用を及ぼしているのかということを、ひとつひとつ自分で感じていく。忘れていた感覚や感受性に気づかされる。普段意識しない自分の動きを感じることで、日ごろ使う頻度が落ちた五感の一部を働かせる効果もあると思った。
人は年を重ねると、自分の記憶にあることの中からの思い込みが多くなると思う。それらは体が記憶している慣れもあるけれど、意識しなくても日々問題なければなおさらそれが強くなることが常だ。すると何も考えずに行動するパターンが多くなり、反対にその記憶にないものには順応しにくくなるのではと最近思う。それらの無意識に対しても、これらのボディワークは自分の感覚を改めて意識させるという、意味のあることなのではと少し思った。
普段の生活ではデスクワークが多いせいか、少しでもからだの柔軟性が劣ってくると、いつもなんらかのサインがあるのがわかる。柔軟性を保つには、日々のストレッチと軽い運動(歩くとかサイクリングなど)は続けたいと思っているので、今まで特にボディワークとして何かを取り入れることはなかった。よく考えると、どのボディワークも自分のからだと心を意識しほぐすと言うのが基本にあるようだ。何度も「自分がつらいと思うような無理な動きはしないで」という言葉があったけど、結局自分にやりやすい心地よい動きが自然とわかるのだ。じっくりと1時間半くらい不思議な時を過ごした…。
ここのところ、少し暖かくなってきたので仕事の移動や買い物などには自転車を活用する。サイクリングも、寒い日の坂道などはちょっとペダルが重いと思うときもあるけど、同じ道でも桜が満開の時期、花吹雪が舞っていたりすると反対にうれしくなったりする。その時のまわりの景色や色でも気持ちの変化は様々だ。その中で自分に無理のない心地よい時間を保てるとよいな〜なんてふと思った。

■講師プロフィール:川前凉子(Ryoko Kawamae)フェルデンクライスIFF公認プラクティショナー。
鍼灸師、カラーヒーリング・ヒーラー。ヒーリングの会「フリダヤム」主宰。
予防医学的な立場からフェルデンクライスに興味を持ち、研究を続けている。西荻窪、多摩センターでクラスを持ち、町田のスポーツクラブでレッスンを開いている。個人レッスン(機能的統合)も行っている。
フェルデンクライスについては、雑誌「Lingkaran(リンカラン)」に誌上レッスン、最近の「家庭画報」にも記事が掲載されている。

川前さん、生島氏
川前さんとPure Heart Club 主宰 生島裕氏

→写真はフォトログに掲載(The photograph is published in the gallery)