Vol.185 EMPEROR REMIXED-ベートーヴェン「皇帝」をリミックス!? 〜

Vol.185 EMPEROR REMIXED-ベートーヴェ

千駄ヶ谷津田ホールで催された EMPEROR REMIXED(エンペラー・リミックスド)東京公演に友人と行った。この公演も日本とドイツの文化的交流を目的とした「日本におけるドイツ2005/2006」のオフィシャル・プログラムであり、21日京都ドイツ文化センターに続いての公演だ。エレクトロニクス・ミュージックと最新のメディア・アートを見ることができるよい機会だった。
最初は、Thomas Koener(トーマス・ケナー)によるメディア・インスタレーション作品。Transmediale(トランスメディアーレ)2005を受賞した「Suburbs Of The Void」という映像と音の作品から始まった。日本ではこれが初公開となる。街角の風景が止まっているようで、空気感、色、天気、照度、時間などが刻々と変化していく。その中は、人の姿など動くものがない不思議な時の空間になっているのだ。いろいろな時間軸をずらしていくことで、同じ視点から違う風景や印象が次々と生まれていく。それを背景音と一緒に表現しているもので、またいろいろな発見があった。その他の映像は、人の行動パターンがやはり時間軸をずらして重なっているシーン。幾重にも重なる背景と、消えゆく残像…。独特の映像で注目されている、音響作家・黒川良一音楽家・半野喜弘のコラボレーションによるスペシャルプログラムも興味深かった。
そして、「エンペラー・リミックスド」は、ピアノと電子音をライブで繋げる試みである。ウエリ・ヴィゲットのピアノ演奏とRechenzentrum(レッヒェンツェントルム)の二人による電子音と映像のライブコラボレーションが実現した。タイトルのとおり、べートーヴェン ピアノ協奏曲 第5番「皇帝」の曲が基調となり独特の映像と音がミックスされる。このようなものを見られる機会はなかなかないだろう。それに、自分の脳内でどのような反応が起こっているかというのも見てみたいものだと思った。今日もすごいものを見てしまった。

CDJournal.comより
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■作品説明・公演内容
古今のピアノ協奏曲の中でも一、二を争う人気曲として知られる、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」を、ピアノとエレクトロニクス、そして映像を使って再構築/パフォーマンスするプロジェクト「エンペラー・リミックスド(EMPEROR REMIXED)」が、いよいよ来週、京都と東京で開催されます!
「エンペラー・リミックスド」を手掛けるのは、ドイツ・ベルリンのエレクトロニクス&メディア・ユニット、レッヒェンツェントルム(Rechenzentrum/写真)。「皇帝」のオーケストラ部分すべてをMIDIファイルに変換し、様々な手法を用いて現代の電子音響に仕上げ、オリジナルの楽譜を基調に演奏されるピアノとの融合を図ります。また同時に、音楽データを視覚化して巨大なスクリーンに投影し、“視覚によるピアノ協奏曲”という新しい形での「皇帝」を披露してくれます。
このほかにも、音響と映像を駆使したメディア・アート作品で名高いトーマス・ケナーによるメディア・インスタレーション『Suburbs Of The Void』の日本初上演や、デイジーワールドで知られる映像/音響作家・黒川良一と半野喜弘によるスペシャル・プログラムも開催予定。クラシック・ファンはもとより、エレクトロニクス・ミュージック&メディア・アートの最前線を体験したいという方なら、訪れてみてはいかがでしょうか?
■出演者
♪Rechenzentrum(レッヒェンツェントルム/computer, electronics, sounds and visual)
♪Ueli Wiget(ウエリ・ヴィゲット / Piano)
♪Thomas Koener(トーマス・ケナー / computer, electronics, sounds and visuals)
♪半野喜弘(computer, electronics and sounds)
♪黒川良一(computer, electronics and visuals)

→写真はフォトログに掲載(The photograph is published in the gallery)