Vol.176 美しき日本の伝統と創造 〜 伝統的工芸品展 WAZA2006

Vol.176 美しき日本の伝統と創造 〜 伝

池袋の東武百貨店で2月21日まで「伝統的工芸品展 WAZA2006」が開催されている。(主催: 伝統的工芸品産業振興会)
代々受け継がれている匠の技、日本の伝統美が一堂に紹介されている。百貨店の催しだというので、主に作り手の紹介と商品の展示即売などがあるのだろうと思っていたら、実際に職人による手作業の実演があり、多くの伝統の技が披露されていた。これらのものが好きな人にとっては、かなり見ごたえのあるものだろう。
昔は、自然の素材をうまく活用したものたちが生活の中に溶け込んでいたような気がする。近年は、低コストで大量成型可能な素材が市場に多く出回るようになり、普段あまり見かけなくなった物もたくさんある。それでも環境や健康に関する注目が高まっているせいか、最近は木や紙という素材が改めて見直されているという。素材により長所短所はあるけれど、長い間伝えられている知恵や技を伝承することは大切にしたいと思う。
東京の伝統的工芸品としては、江戸からかみ、江戸切子、江戸和竿、江戸べっこう、江戸指物、江戸木目込人形、東京銀器、大島紬黄八丈、東京染小紋、多摩織。その他の地域のものでも、讃岐かがり手まり、箱根寄木細工、大館曲げわっぱ、越前和紙など興味を惹くものがたくさんあった。
「手まり」を初めて見たけど、とても繊細できれいだった。箱根の寄木の細かい細工は、いつ見てもすばらしい。「開けてごらん」と言われて7段のものに挑戦したが、とてもよくできていてわからないでいると、職人の方が「4段を持っているんでしょ」と言って謎解きをしてくれた。曲げわっぱも、今は洗練されたデザインがたくさんあることを知った。書道をやっていたこともあり様々な和紙には興味深々。そのほかにも房州のうちわや宮城のこけしなどなど…きりがない…。
今回「東京の伝統的工芸品」ということを目的に友人と訪れたのだけど、「人の技によって創りだされたもの」というのは本当にすばらしい。デザイン性も高く、現代の生活の中にも違和感なく溶け込めるものがたくさんあり、職人の方に質問したりしながらほとんどのコーナーに立ち寄った。東京に住んでいるとはいえ、都内で伝承されているものや匠についても「知らなかった!」ということが沢山あった一日だった。

→写真はフォトログに掲載(The photograph is published in the gallery)