Vol.147 アジアのキュビスム&常設展 〜 東京国立近代美術館

Vol.147 アジアのキュビスム 〜 東京国

週末の北の丸公園付近、いつも仕事の際に通るお堀端の道とはちょっと違う顔をしていた。今日は秋晴れで空も青く、少しばかり空気も澄んでいるような気がする。東京国立近代美術館で開催されている「CUBISM IN ASIA」を見に行く。
4つのテーマに別れたスペース、アジアの11カ国(中国、インド、インドネシア、日本、韓国、シンガポール、マレーシア、スリランカ、フィリピン、タイ、ベトナム)から120点あまりが出品されていた。アジアという地域のキュビズムだけに焦点を絞った企画は初めてだ。展示はテーマ別に構成されていて、それぞれの国による個性もあるのでおもしろいと思った。アジアでは生活に密着している宗教や神話というテーマでの作品も多く、ヨーロッパにはあまり見られない傾向だという。また、作家というよりも国や地域により独特の色の表現があるのも感じた。
最初にピカソ、ブラックの作品からはじまり、日本の作家では、東郷青児「パラソルさせる女」、初期の作品でもある「コントラバスを弾く」、山本敬輔「ヒロシマ」、石垣栄太郎「鞭打つ」などの力作。そして、特に印象に残っているのは、ヴィセンテ・マナンサラ(フィリピン)−フアン・ルナの「血の同盟」「十字架降下」、アン・キューコック(フィリピン)−「磔刑図」、キム・ファンキ(韓国)−「ロンド」、リン・フォンミェン(中国)−「立体静物」、などなど。「磔刑図」は、横と縦のキャンバスを組み合わせTの字のようにして描かれている。
週末とはいえ個性的な企画であるためか、混雑もなくゆっくりとまわることができた。常設展も含めてかなり見ごたえがあった。この秋は、あと「イサム・ノグチ展」と「ドイツ写真の現在」を見に行く予定。そういえば、今日は都民の日だった。
■展示構成
第1章「テーブルの上の実験」
第2章「キュビスムと近代性」
第3章「身体」
第4章「キュビスムと国土」
東京国立近代美術館 展覧会情報より
20世紀初頭にピカソらによって創始されたキュビスムは、近代芸術の最も大きな転回点の一つであり、その後の美術に地域を越えた広範な影響を及ぼしてきました。本展は、アジア各地においてキュビスム的動向がいかに受け入れられ、人びとがいかにそれに応えたかという問題に焦点を当てる初めての試みです。

→写真はフォトログに掲載