Vol.108 摩訶不思議なパフォーマンス〜MOMIX「オーバス・カクタス」

MOMIX「オーバス・カクタス」

先日に引き続き、東京国際フォーラムにMOMIXの「オーバス・カクタス」を観にいった。今日のプログラムは、砂漠からインスピレーションを得たという。動植物の動きをアクロバティックに表現していた。このプログラムの音楽は、環境音楽というジャンルを確立したともいわれているブライアン・イーノアンビエントな音の表現は数多い。休憩を挟んで前後半とも心地よい音楽とともに目を見張るパフォーマンスが続いた。先日の映像とともに表現された公演とは少し違い、ストレートに人の体のしなやかな動きが見える。その柔軟性と持続性には感心するばかりであった。後半の「ドリームキャッチャー」「ファーストコンタクト」は、特に興味深いものだった。

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MOMIX公式サイトより
本作品は、アメリカ・アリゾナ州ソノラ砂漠に生息している様々な動植物たち;羽ばたくソボテンミソサザイ?ずるずると這いずり回っているアメリカドクトカゲなどから着想を得たモーゼス・ペンデルトンによる大いなる自然への官能的なセレブレーションです。
バッハ?ブライアン・イーノにわたる様々な音楽の効果とMichael Curry (ウォルト・ディズニーの“ライオン・キング”にも参加)が手掛けているダンサーが着用している奇抜なコスチュームなど、ユニークなアイデアを沢山盛り込んだペンデルトン風の砂漠とは?
◆4人のアメリカドクトカゲ
スペクタクルに登場する擬人観的な造形物
震える舌、赤と緑の爬虫類の肌、シュッシュッと音を出しながら頭と体の一部だけを水からのぞかせ、アーチを作ったその美しい体は今にも飛びつきそうである。
◆カルテット
不可能であった範囲での動きを可能にするためにプロップやテクニカル補助を使用したセグメントのうちの一つ。ハーネス、ハンモック、スケートボード、巨大な扇子やバンジー・コードなどを使用。胸をむき出しにした男性ダンサーが長いポールを握って跳躍したり揺れ動いたり・・・。
◆Tracking the Earth
スケートボードのようなドリーを使い、トカゲのような機敏さでダンサーが、指を這わせ足の関節を曲げ空間を行き来するジャイロスコープのような構造を作り出す。ドリームキャッチャー内に吊るされたペアダンサーは波打つようなアーチを作り、落ちたり吊り上げられたりしながら空間を舞い、そのまま宙返りしながら進うんでいく。
◆Fire Walker
タイトルどおり花火までが登場:炎の足が暗闇を駆け巡る。耐熱ソックスを履き、音を立てて燃え盛る炎の上をゆっくり走る姿は、燃え盛る太陽や土を思い起こさせる。
◆終盤の”First Contact"
ペンデルトンが愛する、超自然的なスピリチュアルの世界を伴う砂漠の光景に誘う。スケルトン人形が死のダンスを舞う女性トリオをふと見る。バンジー・コードで繋げられぶら下げられた体が、霊魂のように浮遊するのである。
広大な砂漠で得た意外な発見が、永遠に干上がっている砂漠の砂の中にカムフラージュされて消えていく・・・・・