Vol.95 もうひとりの山名文夫 1920s-70s 〜ggg

もうひとりの山名文夫 1920s-70s

日本の近代的な広告デザインの先駆者でもあり、資生堂の企業イメージとそのスタイルを確立したグラフィックデザイナー、そして画家でもある山名文夫氏の展覧会「曲線のモダンガール」が銀座のHOUSE OF SHISEIDOで開催されている。またギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)では「もうひとりの山名文夫 1920s-70s」展の初日で、山名氏にゆかりのある、仲條正義氏×和田誠氏×中島祥文氏による「戦後デザイン界と山名文夫」というテーマでのギャラリートーク〜オープニングパーティが行われた。どちらのギャラリーでも、今までになく資生堂以外の山名文夫氏の活動に着目し、ポスターや本の装幀、絵画やイラストなど約300点が展示されていて様々な作品を目にすることができる。
ギャラリートークではスライドを見ながらいろいろな山名文夫の姿が語られた。ギャラリートーク美大にも生中継されるなど、会場でも学生の姿が多かったようだ。山名文夫氏は、昭和の初期に資生堂に入り西洋の影響を受けながら長年活躍した。花椿マークや流れるような繊細な線のモダンなイラストレーション、唐草模様などを使ったパッケージやイラストは、誰もがどこかで見たことがあると思う。化粧品のパッケージのデザインとなる唐草模様は、18世紀のロココ調の唐草やフランスの雑誌などからヒントを得て作られたという。日本デザイナー学院の開校や、多摩美術大学でも定年まで後輩の育成に尽くすなど、60年に及ぶその創作活動は日本のデザイン界に多大な影響を与えた。
HOUSE OF SHISEIDOのウィンドウディスプレイも冬色になり、まわりのイルミネーションもクリスマス仕様になっていた。どこもきれいに彩られ、街中のあちらこちらに大きなツリーが飾られるようになったこの季節の銀座もおもしろい。交詢ビルにある、バーニーズ・ニューヨークのディスプレイは、いつ見ても斬新だ。まわりのビルがガラスに映りこみ、いっそう不思議な世界を創りだしていた。
山名文夫生誕百年記念作品集

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→写真はフォトログに掲載