Vol.72 日光の杉並木を歩く

日光の杉並木を歩く(東照宮)

旅の2日目…今市から日光に入ると、杉並木が見えはじめてあたりの雰囲気ががらりと変わる。その道を走り抜け、東照宮(徳川家康のお墓)からいろは坂中禅寺湖畔まで周った。この並木道に入ったときはその荘厳さに圧倒された。都心の見上げるビルなどとは、あまりにも質の違う遠近感が開放感に変わった。緑という色が眼にやさしいせいもあるけど、さわやかな風の中で「ゆらぎ」を感じるのはこんな時なのだろう。
「日光杉並木街道」は、約13,000本の杉の木が…その樹高は平均27m。世界一長い並木道(LongestAvenue)としてギネスブックにも認定されている。日本では唯一、特別史跡特別天然記念物の二重指定を受けている貴重な文化遺産。その昔、徳川家の家臣が東照宮の参道として杉の木を植樹したことから歴史がはじまっている。大きなものは樹齢約300年以上で、それが並んでいる様は神秘的で威厳さえ感じさせる。写真だけでは、その荘厳な雰囲気を伝え切れないのが残念だけど、いつか朝日の中その横の歩道をカメラを片手に自分の足でゆっくり歩きたいものだと思った…。
輪王寺本堂から二荒山神社へ続く参道には、いくつもの灯篭が並び道行く人は誰もが自然にカメラを向けている(そこには遠近法の基本の構図ができあがっているのだ)。輪王寺の大護摩堂では護摩を焚く火が燃え上がり個々の願いをかなえるために僧侶による祈祷が始まっていた。宗教のことはよくわからないけど、堂内は広く本尊の不動明王をはじめ多くの像が並び、そこで火を焚き祈祷する様は中々出会えない光景だ。天井には昇竜が描かれ願いを天上界へ届けてくれるという。その前にある相輪とうは、たくさんの経典が納められていて高さ13m。鋳銅製の塔でこんなに大きいものはあまり例がないだろう。このあたりは世界遺産に指定され、ほとんどが国宝か重要文化財というだけあり、その建物や塔はそれなりに文化的にも歴史的にも重みがある。信仰している宗教がなくても、日本人としてたまにはこのような所をまわるのもよいかもしれない。その後いろは坂を走りぬけ、華厳の滝マイナスイオンを浴び中善寺湖畔を周り帰途についた。
杉の大木の並木道を歩き、ひとときの森林浴にもなった日。樹木から発散される物質が人の副交感神経に作用するとリラックス感を促して脳内にα波が増える。するとある種の快楽物質が分泌され、人の自然治癒力を高めることになるそうだ。また明日からの日常に向けて少しは脳内α波増えただろうか^^;

→写真はフォトログに掲載