Vol.18 フィリップ・グラスのシネマコンサート

Angie2003-10-18

フィリップ・グラス氏が来日し、2日間限りのライブ演奏&上映が行われた。彼は多くのジャンルの音楽を手がける有名なアーティストのひとりだ。

「KOYAANISQATSI (コヤニスカッツィ)って、知ってる?」 という旧友からの連絡でチケットを入手できたのはラッキーだった。このようなジャンルに興味があるなんて長年の友人でも知らなかったのでびっくり。映像と音楽で構成されているので映画とも違い、なかなかこのようなものに興味があり話の合う人はまわりには少ない。
それに、この作品は私が20数年前に六本木WAVEのミニシアター、「シネヴィヴァン」での限定上映で見ていたものだ。当時、現代文明への問題意識というテーマでひそかに話題になった。独特な詩的映像でタルコフスキー監督の「ノスタルジア」とともに、強いインパクトを受けた作品のひとつである。
ゴッドフリー・レジオ監督の初監督作品である「コヤニスカッツィ」が暗示していた問題…それが、まさしくこの21世紀の今、現代社会で現実になっているのは、ただの偶然なのだろうか考えさせられる。

その監督が「カッツィ3部作」を制作続行し、今回フィリップ・グラス来日でスクリーンとアンサンブルのシンクロが実現した。フランシス・コッポラジョージ・ルーカスも制作協力した2作目の「POWAQQATSI ポワカッツィ (1987年)」のシネマコンサートは、まさしく五感に響き渡る体験だった。映像と音楽が融合し、独特の世界の中、それを見る人の状況によってストーリーができあがるのだ。

演奏後のMeet the Artist(アフタートーク)で彼が語った「私は自分の意思でここに来た」という言葉が印象的であった。 今回限りの来日で伝えたいことは山ほどあるはずである。また、「明後日は、妻が子供の出産予定日なので絶対に帰らなければ…」という言葉は、ご愛嬌。さらにびっくり仰天であった。

来年2月には、3部作完結編「NAQOYQATSI (ナコイカッツィ)」の公開が決定している。チェロリストのヨーヨー・マが奏でる音、20年前とは違うデジタル映像と、それにこめられたメッセージが楽しみである。

フィリップ・グラス日本公演について
http://www.conversation.co.jp/koyaanisqatsi/concert.html