Vol.222 文京区本郷 スローなカフェ「金魚坂」

文京区本郷 スローなカフェ「金魚坂」

先週、地元のお祭りで金魚を数匹引きいただきました。少し前から気になっていた「金魚坂」というところに、さっそく水草などを見に行ったのですがそこには何と金魚釣りもできるカフェが…。

東京メトロ本郷三丁目の交差点から歩くこと数分、住宅街の路地裏に「金魚」の文字の旗が見えてきます。場所はちょうど東京大学の赤門の前の通りを一歩入ったあたりです。地元では300年以上も続く金魚の卸問屋だそうで、金魚坂の名前もお店のすぐ横の小さな坂を、そう呼ばれたことから由来があるようです。

ロッジ風のレストランの建物の前には釣堀があり、金魚だけでなく錦鯉なども放たれ気軽に金魚釣りができるようになっています。普通の金魚や赤い鯉がほとんどですが、私が見たときは30cmはゆうにあると思われる鯉まで顔を出してきて驚かされました。最初は金魚を釣るなんて口元にキズができたら観賞魚としてかわいそうだというイメージがありましたが、竿や針も小さくそんなにダメージがないようないので少し安心しました。

昼下がり、前を通りかかる人も釣り人の声にふと立ち止まり見ていたり、子供たちに混じって大人もゆったりと楽しんでいるようでした。奥のスペースには問屋というだけあって大きな箱の生簀に琉金や和金などがたくさん放たれています。そのほかの水槽にもランチュウや初めて見るピンポンパールという丸っこいコロリとした金魚が…そしてその前では金魚すくいができたり、昔ながらのまわりにひらひらのついた丸いガラス(江戸時代はギヤマン?)の金魚鉢や変り種の鉢などもおいてあり、まさしく金魚ワールドです。

「金魚坂が目指すものは、和みと憩いの場をご提供すること」という言葉どおり金魚の卸問屋なのに、本格的な中国茶や葉巻・創作料理が楽しめるレストラン併設で金魚釣りまでできるという不思議なスポットなのでした。

金魚といえば、東京の中でも江戸川区の船堀というところは、かつて金魚の養殖が盛んに行われていた街で、今でも金魚の養魚場がいくつかあるそうです。また、西多摩地域では昔は雛祭りに金魚を用いた飾りをする風習があったと聞きますが、最後に金魚売りの声を聞いたのはいつのことでしょうか?都心ではカブト虫でさえ容器に入れられ売っている昨今、金魚売りを見たことがないという子供がほとんどかもしれませんね。

金魚坂を後にして本郷の街に目を向けると、古くからある建物がところどころに残っているのに気がつきます。江戸時代の加賀藩前田家上屋敷跡にある東京大学の赤門などはよく知られていますが、ちょっと下町風なイメージでもあります。文京区には大名・旗本の屋敷町の旧跡が多く残り、樋口一葉石川啄木宮沢賢治ら文豪ゆかりの土地でもあるそうです。そちらはまた別の機会に…。

金魚坂

金魚坂

→写真はフォトログに掲載(The photograph is published in the gallery)