Vol.220 熱海「起雲閣」で昭和〜大正浪漫の建築様式に出会う

Vol.220 熱海「起雲閣」で昭和〜大正浪

連休後の平日、仕事がひと段落してから熱海まで車を走らせる。毎月伊豆に静養に行っている義父母を迎えに行くついでに温泉やジャグジーにつかったり、釣りをしてひと休みする機会が多くなっている。
今回は時間もあったので、以前から気になっていた「起雲閣」に立ち寄ってみた。場所は意外にも熱海の市街地の通りに面していて、市の指定有形文化財としても一般に公開されている。門の前にはバス停があり、立ち寄る人も多くあるようだ。ここは大正から昭和の初期に、熱海の中でも三大別荘のひとつとして、個人の別荘として建てられたそうで、三千坪にも及ぶ敷地の中には、広々とした庭園と様々な格調高い建築様式の建物がたたずんでいた。
ローマ式の浴槽を見るのは初めてだけど、贅を尽くした空間にはテラコッタの湯出口、ステンドグラスの窓なども当時の材料でそのまま再現されているという。金剛では、暖炉の上の草花などの文様が螺鈿工旋によって施され、ここにもきれいなステンドグラスや、ドアノブや蝶番など細かい部分の各所の仕上げや加工にもこだわりを感じる。
旅館として営業されていた昭和20年代には、山本有三太宰治など数多くの文人が訪れたといわれ、今日はちょうど文豪たちの展示の数々を見ることができた。当時の様々な様式の洋館と日本庭園が調和していて、庭には目にもやさしい緑が広がり、好きな様式の建築をみているだけでも楽しいひと時が過ぎたのであった。

起雲閣

→写真はフォトログに掲載(The photograph is published in the gallery)