Vol.214 光の魔術師 インゴ・マウラー展 〜 東京オペラシティ

Vol.214 光の魔術師 インゴ・マウラー

東京オペラシティアートギャラリーにて、「光の魔術師 インゴ・マウラー展」が開催されている。会場にはデザインされた照明たちと光の遊びが融合しちりばめられていた。光が作り出す影やそのしかけがおもしろい。奇抜なデザインのものでも、ちゃんとプロダクトデザインとして魅力あるものたちも多い、遊び心たっぷりで造ることを楽しんでいるようだ。
作品の中には、新作で作品名も記載されていないものがあった。マウラー自身やマウラーチームから生み出されるものの名前のつけ方は遊び心に満たされている。ものの流れていく過程などとは別の彼の流儀があるらしい。
ちょっと目に付いた作品の名前を、それを覚えるために確認するとまだ作品名はないけど「爆発する喜びのような意味」だとわかった。破壊的に割れた皿や箸や顔のオブジェが四方に触手をのばしている作品。これらが巧みなバランスで組み合われられ、表情がおもしろい。「Porca Miseria(ポルカ・ミゼリア!)」というシャンデリアのような作品に似ているが、また違ったバージョンのようだ。こちらも見ている人が「なんだ!」と思わず言ってしまうというイメージ。羽のついた電球やカンバリ・ライト(2002年作品)はオブジェとしても近くに置いてみたいと思ってしまう。
作品の写真の展示もいくつかあり、その中の言葉が印象的であった。
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光は非物質的である。
心や精神、魂でとらえるものだ。
わたしはそれを
われわれを取り囲む
優しい霊と見なす。
影は光の追憶。
月が一番美しい反射体だ。
最も美しい光、
それは人の心から出る光だ。
コンピュータよりも
天の感覚から
直接生まれる答えが
好きだ。

・インゴ・マウラー展公式blog

Ingo Maurer (Compact Design Portfolio) Light-Reaching for the Moon   
Ingo Maurer (Compact Design Portfolio)
Light-Reaching for the Moon


京都小旅行の際、写真家の杉本博司氏と共に桂離宮へ…杉本博司×インゴ・マウラーの対談が8月10日発売の「カーサ ブルータス vol.78」(マガジンハウス)に掲載されている。

→写真はフォトログに掲載(The photograph is published in the gallery)