Vol.160 「Passion and Action − 生の芸術 アール・ブリュット」展

Vol.160 「Passion and Action − 生の

銀座のHOUSE OF SHISEIDOで「アール・ブリュット(Art Brut)」の作品展が開催されている。英語では「アウトサイダー・アート」とも言われているが、ヘンリー・ダーガーの作品なども展示されているということもあり、まだ風が冷たくない昼下がり会期が終わる前に何とか立ち寄ることができた。いつものようにウィンドウの中のディスプレイの彩りがとてもきれいだ。銀座の街中もイルミネーションと共になんとなく秋から冬模様に変化している。
展示されている作品はどれも何とも言えない不可解なパワーで満ち溢れていた。資生堂では過去にも「アール・ブリュット」の作品に焦点をあてた展示が行われている。今年はアール・ブリュット誕生から60年目。
ヘンリー・ダーガーの「At Jennie Richee(ジェニー・リッチーにて)」は、薄い紙(裏からも見ることができる)の上に物語が広がっていて、カラフルではあるのだけどそこから彼の言葉が見え隠れし表現することに一途な思いを感じる。彼の孤独な死後に発見された小説「非現実の王国で」も一度目を通したいものだ。
オーギュスタン・ルサージュの細密画は、特に目をひくものがある大作である。細かいパターンがどこまでも続く線画からは、彼の執拗なほどのひたむきさが想像できる。その思いの裏にある現実の時に翻弄されていたのであろうか?彼は、レオナルド・ダヴィンチの霊に導かれていると信じていたという。
これらの作品は、日本ではあまり一般的に話題にあがることも少ないだけに、これだけまとめて鑑賞できる機会は中々ない。その他数々の作品も含めてまさに生(なま)の芸術であった。

アール・ブリュットとは?
正規の美術教育を受けていない人々による“生の芸術”。
ロウ・アート、アウトサイダー・アート、アート・インコグニトとも呼ばれる。
1945年にフランスの画家ジャン・デビュッフェが造った言葉。

Collection de l'Art Brut
スイスはローザンヌにある、アール・ブリュットの作品のみを展示する美術館。ジャン・デビュッフェが集めた数千点にもなる作品がローザンヌ市に寄贈されたことから1976年に開設された。

Outsider Art .info

→写真はフォトログに掲載(The photograph is published in the gallery)