Vol.145 上野の森で古代エジプト展 〜 ルーヴルコレクション

Vol.145 上野の森で古代エジプト展 〜

東京都美術館ルーヴル美術館が所蔵するエジプトコレクションの一部が公開されている。招待状をいただいたので、昼下がりからゆっくりと出かけて行った。日本では、よくあちらこちらで古代エジプト展が開催されるけど意外にもルーブルのコレクションは今回初めてだそうだ。ルーヴルの学者たちにゆかりの遺物から、ルーヴル美術館エジプト学との関わりがわかる。メインテーマは古代エジプトの「人」、親子・夫婦の仲むつまじい家庭生活、職業、ファラオと神々の関係、死生観などから当時の人々の人間像を探るということで、生活の中を垣間見られるものも多かった。
インパクトがあったのは、やはり「シェドホルの石棺の蓋」(紀元前4世紀)だ。シャンポリオンが一番美しい棺というだけあり、その蓋はとても存在感があった。蓋の表と思われる部分には細かいヒエログリフが上から下までまっすぐに刻まれ、裏側には永遠の旅にでる死者のために空の女神が彫られている。(これが死者の顔と向き合うことになるのだ)天井が高い広いスペースに立てた状態で展示されていたこともあるけど、とても見事なものだった。
シャンポリオンが解読した、ロゼッタ・ストーンの拓本が実物大であったが、細かい書き込みをしながらたどったその文字は、本当に小さくとても根気のいる作業であったことだろう。エジプト文字を記した文法書も展示されていたが古代文字が解読され、紀元前の歴史が読み解かれたことは偉業である。
また、豊かな生活の中で使用されたと思われるものなども数多く展示されていて、食器や装身具、櫛や杖など細かいものまで見ることができた。ラピスラズリスカラベの彫刻を、金で縁取った胸飾りはきれいだった。「カバの小像」は、とても小さいけど綺麗な青が印象的だ。これは、青いラピスラズリなどの石ではなくエジプトファイアンスという焼物だそうだ。ナイル河でのカバ狩りは王たちのスポーツだったとも言われる。
今回ステラという石碑が多くあったけど、自分の歴史となるものを記録しておくものだと知る。そこには、ヒエログリフだけでなく絵でも表現され、それぞれに個性がありこれらを見るだけでも価値があると思う。最後のコーナー、中央に展示された神官の木棺や死者の書には多くの人が集まっていたが、本などで見る機会もあるものだけに興味のある人がたくさんいるのであろう。催物的に展示されるミイラやファラオの棺もよいけど、今回のような貴重なコレクションの展示は是非見てほしいものだ。

■展示構成
第一章 ルーヴルとエジプト学
第二章 エジプト人の素顔に迫る
第三章 人生を謳歌するエジプト人
第四章 働くエジプト人
第五章 ファラオ:半神半人
第六章 エジプト人と神々
第七章 エジプト人と死
展覧会の情報(NHKプロモーション)
ルーヴル美術館のオフィシャル・サイトではヴァーチャルツアーもある。
帰り道は上野公園を通り抜け、国立科学博物館の前にでると大きなくじらの巨体が再現されていた。建物は秋に向けてリニューアル中だそうだ。それにしても博物館も美術館も、週末くらい閉館時間をもう少しゆっくりとしてくれてもよさそうなものだけど…。
月がだんだん丸くなる…明日は中秋の名月

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