Vol.124 誰も見たことのないもうひとつのパリ〜田所美恵子・針穴写真

Vol.124 誰も見たことのないもうひとつ

銀座のポーラ ミュージアム Annexに針穴写真を見に行った。今日は田所氏のギャラリートークもあり、この撮影法との出会いやその後の活動経緯など興味深い話を聞かせてもらう。現場で作品を創ることに専念しているだけにこのようなワークショップ的な活動は少ないそうだ。実際に缶の仕掛けを見ると本当に小さなものでびっくりする。今回の展示をプロデュースした井澤氏と話すきっかけがありいろいろな質問に直接その作り方など丁重に説明してくれた。
穴を開けた缶に印画紙やフィルムをセットし、撮影の対象の前に置いておくと目の前の止まった時間だけが記憶される。その不思議な撮り方に以前からとても興味があった。動くものは写りこまずに、奥行きに関係なくピントが合い独特の世界ができあがる。田所氏の作品の雰囲気は、パリを中心にショーウィンドウや歴史的建築物など撮影していることもあり、特に中世のヨーロッパを思わせるイメージになっている。ヨーロッパではお墓の写真を撮ることもある。いろいろな宗教が混在しているだけに、墓碑の上に彫像があったり、故人のイメージを模した彫刻やオブジェなど、日本では考えられない雰囲気があるのだ。
■アネックスギャラリー イベントスケジュールより
自然が生み出す美しい色彩に加え現代人の生活は多くの色彩で満ち溢れています。まだカラーテレビが普及していなかった時代、人々は目にしたモノクロ画像を想像の世界で色彩に変換していたのではないでしょうか。そのころは、携帯電話でデジタル画像が瞬時に送れる時代が訪れるとは想像もできませんでした。このような急激な変化のなかにおいて、セピア色の映像が郷愁を誘うのでしょうか。モノクロフィルムで撮影を楽しむ愛好家が増えています。今回の企画は針穴写真でパリを取り続ける女性写真家、田所美惠子の作品を数多く展示いたします。


針穴写真を撮る―やわらかい光 大人の科学マガジン

→写真はフォトログに掲載