Vol.87 失楽園(PARADISE LOST)〜横浜美術館開館15周年記念展

失楽園(PARADISE LOST)〜横浜美術館開

文化の日は、横浜美術館の開館記念日でもある。
今年は15周年記念ということで、欧米〜アジアまでの広い範囲の作品が310点も展示される「失楽園」が開催されている。作品の年代は1870〜1945年まで、この70年あまりの間の絵画・写真などによる風景表現で、印象派からシュルレアリズムの絵画〜第二次世界大戦末期の大量殺戮や廃墟、アジア(満州・沖縄)はもとより原爆の爆心地近くの写真などなど。
失楽園の展示の中では…近代都市の風景〜モネ、セザンヌシュルレアリストの絵画and写真、第二次世界大戦末期〜原爆爆心地の翌日の様子、ロバート・キャパ他、帝都東京〜土門拳木村伊兵衛……好きな作家の作品をたくさん見ることができたのもよかったけど、これだけ様々な作品だとアートフレームもぱらばらで、それが作品により選択されたものだと思うとかなり興味深かった。
美術館では、これだけでなくコレクション展(現代絵画、ポップアート版画、アメリカ写真)やアートギャラリーでの展示(Slice)も開催され、文化の日の今日はすべてが無料開放されていた。都民の日は、都内の美術館のあちらこちらでもあったけど、文化の日は意外と少ないようだ。アートやデザインなどにかかわらず、文化活動が注目されつつある今日この頃なのだから、こんな機会に誰もがたくさんの作品や舞台などを目にできるようになればよいのになとも思う。
横浜美術館コレクション展の展示室前には、イサム・ノグチのブロンズ彫刻などがミロの「女の頭部」とともに数点置かれていた。展示の中では…15周年記念に購入されたディックスの「仔牛の頭部のある静物」、ベルメールの「人形」、ピカソリトグラフ、ダリの素描、そしてポップアートウォーホールの「キャンベル・スープ」やリクテンスタインのアメリカン・コミックの一コマ、それから、ウィリアム・クラインダイアン・アーバスの写真などを一同に見ることとなったのだ。時間のある休日で本当によかった…(^^♪
この美術館の歴史でもある「アートとしてのポスター展:Poster as Art」
グランドギャラリーでは「平和の若い騎手」という若者と馬のブロンズ像の後ろに、15年の間に開催された企画展のポスターが床から天井までにすべて展示され、デザイナーの紹介もされていた。ポスターはよく見るけれど、そのデザイナーに着目しているのもおもしろい。一人の人がいろいろなものを手掛けている場合もあるのだなぁと思った。
こんなにいろいろな時代の風景表現の作品を、まとめて見る機会は滅多にないだろう。時代と文化の流れ〜そして伝えたいこと〜それらを意図した多数の展示なので、すべてを見るのにどれだけの時が過ぎただろう。(まあ、海外の美術館をまわることを考えたら大したことはないんだけどね) いつもは車でひと走りのところ、今日は初めて電車で「みなとみらい」に行ってみた。家は中目黒なので、東横線から直通の特急ができてとても便利になったのだ。横浜では来年、国際美術展でもあるトリエンナーレも開催される。各種のイベントも多く最近ちょっと注目している場所だ。今度はゆっくりと、山手の洋館にでも訪れてみたいなと考えている。

→写真はフォトログに掲載