Vol.60 クラリネットとその家族たち

Bクラリネット

今日は、青山でクラリネットの世界的奏者でもある鈴木生子氏によるサロン風の演奏会が行われた。はじめは歌の曲であるグノーの「アヴェ・マリア」と、G・ガーシュインのミュージカルの代表作の曲の一つ「アイ ガット リズム」。楽しいトークも交えながら間近で演奏される音にリラックスした雰囲気だ。

楽器紹介では、管の長さによって名前があるそれぞれのクラリネットの特徴が説明され、それらに合わせた音を聞かせてくれた。クラリネットといっても、こんなにいろいろな種類があるなんて知らなかった。我が家にも息子の部屋にひとつあるが、素人には見た目では種類など全く区別がつかないものだ。(先日は別の吹奏楽の演奏会で 「ファゴット」という楽器も始めて知ったくらいなのだ ^^;)
オーケストラの演奏ではない、このようなサロンスタイルの会でもない限り、楽器の説明を聞くきっかけなどは中々ないものだ。クラリネットはオーケストラの中での存在はよく知られているが、ソロで聞くのは初めてだ。紹介された楽器の中には珍しい古楽器もあり、「普段見ることはないだろう」と思われる貴重な機会だったと思う。

演奏会の最後、新しいスタイルでの曲の演奏はとても素晴らしいものだった。
シーゲルの「バスクラリネットとテープのための"ジャックドォウ"」
ヨーロッパにいる小さめのカラス「ジャックドォウ」との共演である。
バスクラリネットの深みのある低音とジャックドォウの声の交差は、互いに掛け合いでもしているかのような心地よいテンポ。これはまるで独特の音遊びだ。10分ほどの演奏だが何か物語が聞こえてくるようで、もっと聞いていたい感覚になった。

演奏会のあと、奏者の鈴木氏や彼女に師事している大迫氏、主催者の面々と話をする時間があった。今年はいろいろな音楽を聞く機会が多いけど、最近ジャンルに関係なく人の記憶をつないでいくように思える。それだけ新たな出会いも多いということだ。これからも今回のサロン的な会のように個性ある演奏を聞く機会が増えるとよいものだ。

→写真はフォトログに掲載

♪ 演奏者プロフィール ----- 鈴木生子氏(クラリネットバスクラリネット)
東京芸術大学卒業。ニューヨークのマンハッタン音楽院、アムステルダムのスウェーリンク音楽院を卒業。スウェーリンク音楽院において、日本人で初めて、バスクラリネットをハリー・スパルナーイに師事。2001年、9年間に及ぶ留学を終え帰国。02年9月、日本初ともいえるバスクラリネットのソロリサイタルを開催し好評を博す。